【材料・分子システム化学領域】1つで3役を担う金ナノクラスター触媒を開発 ―階層構造が生み出す多機能性―

京都大学化学研究所 井芹建太 博士後期課程学生(研究当時)、關谷創太 博士前期課程学生、中村正治 教授、磯﨑勝弘 准教授らの研究グループは、立教大学理学部 山内颯斗 博士前期課程学生、三井正明 教授らの研究グループとの共同研究により、アルキニル配位子で保護された金22核ナノクラスターが、階層的な構造に由来する3つの異なる機能を同時に発現し、多機能性触媒として高い活性を示すことを明らかにしました。
これまで金属ナノクラスターは、内部のコア構造と表面構造に基づいて多様な触媒作用を示すことが知られていました。研究グループはこれまでに、球状のチオラート保護金ナノクラスターが、コア構造と表面構造に基づく二重触媒作用を示すことを世界に先駆けて報告していました。しかし、球状コアに由来する低い光増感特性、配位子交換が起こりにくい表面構造、さらに機能性配位子が脱離しやすいことなどが課題となっており、触媒活性の向上が求められていました。
本研究では、水素結合特性を持つアルキニル配位子で保護された金22核ナノクラスターを用いることで、(1)異方的な超原子分子コアによる高い光増感特性、(2)表面構造に由来する効率的な配位子交換反応、(3)中間層構造による機能性配位子の安定保持、という3つの機能を同時に実現しました。これにより、従来の金ナノクラスター触媒を大きく上回る高い触媒活性の達成に成功しました。
本研究成果は、階層構造を有する異方的な金属ナノクラスターが、多機能性触媒として高い潜在性を持つことを示すものであり、今後の持続可能な有機合成手法の開発への貢献が期待されます。

本研究成果は、2026年6月14日に国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載されました。

研究詳細

1つで3役を担う金ナノクラスター触媒を開発 ―階層構造が生み出す多機能性―

研究者情報

論文情報

タイトル Hierarchical Architecture of Anisotropic Alkynyl-Protected Au22 Nanoclusters Enables Accelerated Photo-/Thermo-Dual Catalysis toward Cross-Dehydrogenative Coupling(アルキニル保護異方性金22核ナノクラスターの階層構造に基づいて促進される光/熱二重触媒脱水素クロスカップリング反応)
著者 Iseri, K.; Sekiya, S.; Yamauchi, H.; Mitsui, M.; Nakamura, M.*; Isozaki, K.*
掲載誌 Journal of the American Chemical Society
DOI 10.1021/jacs.6c07078
KURENAI

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